7.ボーダーの街 エルパソ・ファレス
朝食後、国境の街エルパソを目指し出発した。
アイちゃんが合流し、車中は一段と賑やかだ。
前日のドライブと重なる道もあり風景には退屈気味だが、リオグランデ河が見えるあたりではみなカメラを取り出す。

マクドナルドのブレックファーストメニューは日本よりずっと豊富
エルパソに到着したらまずツーリストインフォメーションに行った。

ツーリストインフォメーションは各地にあり、情報を集めるのに便利だ。

インフォメーションの建物に入るとアイちゃんがカウンターに直行。

いきなりそこに飾られていたキャップを買った。

あまりの唐突さに私たちも、職員の人も爆笑だ。

だが、キャップ好きの本人はいたってまじめ。

貴重なコレクションが増えたと喜んでいた。

インフォメーションで地図をもらい国境に向かう。といっても国境のリオグランデ河は街の中心にあるインフォーメーションから300mほどのところだ。

車で国境を越えることも出来るが、私たちは橋のたもとにある駐車場に車を置き、徒歩で国境を越えることにした。

メキシコに入るとレンタカーの保険もきかないし、出入国の審査にも時間がかかる。

橋を渡る手前で25¢払う。アメリカ出国の際はパスポートもいらないがアメリカに帰ってくる際はパスポートが絶対必要なので忘れたら大変だ。
お金を払って橋に入ると、橋は大にぎわい。ぞろぞろと人が歩いている。

メキシコ側の出口には特にゲートがあるわけでもなく、いきなり賑やかなファレスの街に放り込まれる感じだ。



アメリカ側のエルパソもメキシコ系の人が多く、街にもスペイン語があふれているが、ファレスは段違に賑やかで、これぞメキシコといった陽気さだ。

街には音楽が鳴り響き、通りにはカフェのテーブルや椅子がところせましと並べられ、露店からはこうばしいトスターダスの香りが流れてくる。

とても乗る気になれそうもない年季の入った小さな観覧車などの移動遊園地もエキゾチックな雰囲気に花を添えている。

複雑な街の通りはごちゃごちゃとしてどれも同じように見えるが、歩いてみるとそれぞれ特徴がある。

ある通りには衣料品店が並び、ある通りには革製品を売る店が並ぶ、また別の通りには靴磨きが並んでいるといった具合。

まるで陽気なアメヤ横丁だ。

しかしアメ横はこんなに暑くない。

ここはとにかく暑い。アイちゃんは時差ボケもあってギブアップ気味。やけにおとなしい。

他の三人も暑さに参ってきたのでファーストフード店風の鳥料理やで休むことにした。

たいして涼しくもない店だったが、日陰でビールが飲めるだけでも天国だ。 おまけにつまみにとたのんだケサディアスはチーズにコクがあり、大変美味しかった。

ビバ メヒコ! グラシアス メヒコ! メキシコっていいなぁ〜。

    
メキシコでの買い物は駆け引きが肝心だ。 言い値で買ったら馬鹿を見る。

言い値の半額ぐらいから交渉を初めてちょうど良いぐらいだ。

帰る振りをして、ちょっと待てと言われれば、値はまだ下がる。

すんなり返すようなら相手には厳しい値段だ。

ショウちゃんとマルちゃんはここでタペストリーを買ったが、ショウちゃんの値切りはまだ甘かった。

ニコニコしながら値切りまくり、最安値をGETしたマルちゃんが今回の買い物王だった。

すっかり歩き疲れて4時過ぎに帰路へついた。メキシコ出国の際また25¢払い橋を渡る。

アメリカへの入国時は、パスポートと荷物の中身をチェックされた。

日本人の私たちは簡単なチェックで済むが、メキシコ系の人はそうも行かないようである。

皆、詳細にチェックされている様子だった。

エルパソの夜は意外に淋しい。

賑やかなファレスとは大違いで夕食をとる場所を探すのに苦労した。

それでもやっと見つけたシンシナティークラブというレストラン・バーは漆喰と深い茶色の木材を使った渋い内装の素敵な店で、4人そろって食べる第一夜目の夕食はみんな大満足だった。

私の食べたハンバーガーは感動ものだった。

一個でもお腹がいっぱいになりそうなぶあついパティが2枚も入っていて、チーズの種類も選べる。

肉の焼き具合も注文出来る。もちろんレアだ。

付け合わせのピクルスがまた美味しい。アメリカにいたら太るいっぽうだ。

食事からの帰り道、高台からメキシコの明かりが見えた。

巨人の手のひらにのせられた宝石のような明かりは、ちらちらとはかなげで、切なくなるような美しさだ。

日本を遠く離れて旅していることを改めて実感する。

モーテルのベッドの堅いマットの上で、ファレスの明かりを思い浮かべながら眠りについた。



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