8.ここは天国だ!サンタフェ

マーケットで買ったピザをほおばりながらサンタフェへ向かった。

この日のドライバーはアイちゃん。慣れぬ運転に、美味しいピザに手を伸ばす余裕もない。

サンタフェに近づいた頃、ライトを点滅させ泊まっているパトカー見えた。

また事故かなーと思いながら目をやると、一人の男が額から血を流し、警官に取り押さえられていた。

逮捕の瞬間だったのだ。

アメリカのドキュメンタリーTV番組に「ハイウェイパトロール」みたいなのがあったけれど、まるであんな感じ。
(日本で言えば「XX警察密着24時間!」てな感じ。)

映画さながらのシーンに私たちは大騒ぎだが、脇見をする余裕のないアイちゃんは見逃して悔しがることしきりだった。

アイちゃんが悔しがるので、ますます得した気分になった。

サンタフェはアルバカーキの北50マイルほどの所にある。

宮沢リエの写真集でその名は日本でも一躍有名になっが、情報は少なく、とにかくきれいな所らしいという程度の予備知識しかなかった。

サンタフェへのオールド・タウンに入っていくと狭い道の両側にしゃれた建物が見え始める。

ネイティブアメリカン(インディアン)の日干し煉瓦の建物を模した建築様式なのだそうだ。

すべての建物が、素焼きの陶器の様な色をしている。

ガソリンスタンドまでがサンタフェスタイルで、景観を損ねないように建てられている。

緑も多く、小鳥のさえずりが絶えず聞こえる。

おお〜これがアメリカ人も憧れるというサンタフェの街か、さすがにきれいだと感動せずにはいられない。

私たちは車を停め、早速、街の散策に出かけた。

街の中心の公園の脇には露店が並んでいて、近隣に住むネイティブアメリカンの人達が銀製品などを布の上に広げている。

この人達は特に客引きをするでもなく、のんびりと座っている。たずねれば親切に答えてくれるが、押し売り的な営業はいっさいしない。

これも彼らの誇り高さの一面なのだろう。

私がインディアン・ジュエリーを買ったおばさんは、サントドミンゴ・プエプロのひとだった

おばさんは私の選んだジュエリー、一つ一つについて丁寧に説明し、それらの作品は彼女の24歳になる息子が造っていると教えてくれた。

露店の他にもインディアン・ジュエリーを売る店は沢山ある。

アイちゃんはズニ族が石を彫って造った、動物の人形がいたく気に入り”秀逸だ!”というセリフを連発していた。

確かに、この石人形、色もきれいで小さいのに良くできている。

しかし値段の方も結構よい値段で、1個$100以上のものも多い。

少し前まで”サンタフェは天国だ”と浮かれていた彼も、今度は”地獄だ〜”とうなりながら、買い物をしていた。

美しいサンタフェ!


石人形にはまる男


インディアンのモチーフ
Lizard、Snake、
Kokoperi(笛を吹く人)、
Coyote


飲食店以外のほとんどの店は、7時過ぎには店じまいしてしまう。見るところも無くなって、次はモーテル探しだ。

サンタフェはモーテルも高め。この日は1部屋$100の”DesertInn”に泊まった。

高いだけあってモーテルとは思えないほどきれいで広々した部屋だった。

夕食はコヨーテ・カフェでとった。レントランのスペースもシックで素敵だが、私たちは気軽で、陽気な雰囲気のカンティナの席を選んだ。

ちょっと冷たい夜風に吹かれながらあおるお酒は格別! 料理はどれも美味しく、ボリュームたっぷり。

夜も早い時間の空は、ほのかに明るい青空で夜空と呼ぶには明るすぎる、かといって昼間の青空ではない不思議色だ。

ブルーの空にアドビ建物のシルエットが幻想的に浮かび上がっていた。
夕食後はもっと飲もうとバーへはしごした。

エバンゲリオンというバーで、木製のの長いカウンターと

海にまつわる模様が彫刻された重厚なの棚が目を引く渋いバーだった。

地下は広々としたビリアード場になっていた。

男3人はコヨーテナイトだとか訳の分からぬ事を言って盛り上がっていたが、私は疲れてぐったり。

貧血気味になってきたので、早々にこのバーを引き上げた。

サンタフェには通りのそこここにギャラリーがあるので、閉まっているギャラリーをのぞきながら、ぶらぶらとモーテルへ帰った。

男3人は私のせいで飲み足りなかったらしく、モーテルの部屋でもワインをあけてコヨーテの遠吠えを続けていたようだ。

1.
日本脱出! 8. ここは天国だ。サンタフェ
2.
アメリカ上陸 ロスサンゼルス 9. タオスプエブロと山越え
3.
アリゾナの砂漠をツーソンへ 10. フォーコーナーと田舎町
4.
西部劇の街・ツームストン 11. 猿の惑星・レイクパウエル
5.
巨大サボテンの林・サグアロ国立公園 12. ぴかぴかのラスベガスとバス釣り
6.
アルバカーキでチリ三昧 13. マザーロード・ルート66とバクダットカフェ
7.
ボーダーの街・エルパソ、ファレス 14. ほこりにまみれて再びサンタモニカ
South West 3500マイルの旅 TOP

Copyright(C) CafeCaboSanLucas All Rights Reserved.